森田療法は、独学することも可能です。本にすると一冊でも十分説明することが出来る程の理論ですので当然ながら一人で勉強し理解することが出来る内容です。
ところが多くの場合、独学をしていると非常に重要なところで大きな誤解をしてしまいます。
それは、「あるがまま」になろうと意識することです。
森田理論の真骨頂は、何といっても「あるがまま」です。
症状をあるがままに受け入れることが出来れば、症状は確実に消え去ってしまいます。
森田療法の全ての本にこのことは記載されており、森田神経質症で悩んでいる人は、とにかく「あるがまま」に症状を受け入れることが出来れば、症状を克服することが出来ると試行錯誤することになります。
しかし、ここに大きな勘違いがひそんでいます。
森田神経質で悩んでいる人は、その症状(対人恐怖や赤面恐怖などその人が悩んでいる症状)を治したいと悪戦苦闘し、症状と戦ってきたからこそ、悩みのクセが付いてしまっています。
その症状を気持ちで乗り切りたい
その症状があっても気にせず大胆でいたい
その症状以外のやりたいことに意識を集中させたい
それら全てをやりつくして、それでも自分の意思とは関係なく症状にとらわれてしまいます。「あるがまま」になれば治ると言われても症状にとらわれている人、悩みの真っただ中の人は、簡単にあるがままにはなれません。あるがままになれないから症状にとらわれている訳です。
健康な方でも悩むことはあります。それでも症状にとらわれないのは、森田療法を知らなくても自然と悩みを「しょうがない」と受け入れて、自分がやらなきゃいけないことを行動することで、悩みが自然と消滅してくるから病的に悩まなくて済むわけです。
我々は、その症状・悩みに固執し意識することで症状・悩みがますます大きくなるという悪循環を作ってしまいます。森田療法では、精神交互作用と説明しています。
「あるがまま」に症状を受け入れることが重要だと、「あるまま」を意識した瞬間に自分がとらわれている症状を意識する結果になり、「あるがまま」と一番遠いところに行ってしまっています。
これがよく言う「あるがままにとらわれる」という状態です。
症状をあるがままに受け入れることが重要と言われていますが、あるがままは自分の意思の力ではなれないので、森田療法ではあらゆる言葉であるがままになる為のアドバイスをしています。
恐怖突入
初めての行動には不安がつきもの(行動の原則)
外装整えば、内装自ずから熟す
感情は内なる自然現象
など
唯一救いとしては、森田療法を勉強する人は、この状態に多くの人がなるので、逆に考えると森田療法で症状を克服するには「あるがままにとらわれる」ことは、治る為の長いレールに乗っかったと思ってもいいかもしれません。
森田療法の真骨頂は「あるがまま」に間違いないのですが、「あるがまま」と意識している時は、「あるがまま」には程遠いということを理解するだけでも、症状の克服に大きく前進することが出来ると思います。
※千葉県には4つの集談会があります。船橋集談会は、毎月第3日曜日に船橋駅近くの船橋市中央公民館で開催しております。
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